2019年12月10日火曜日

#9 ファイナル

 
こんにちは!Yamatoです。

12月に入り、ディーラーでの研修が終わり最終プレゼンも無事終わりました。


とても緊張しましたが、素晴らしかったと褒められ嬉しかったです。

プレゼン後
仕事の最終日ではワークメイトの皆さんとのお別れがさみしい気持ちで一杯でした。これからも連絡を取り続けたいと思います。

・ドライブシャフトシール交換

最後の一週間は色々なお仕事をさせていただきました。
こちらはドライブシャフトシールが破損しトランスミッションフルードが漏れていたのでドライブシャフトシールの交換を行いました。
ドライブシャフトとはトランスミッションからタイヤに動力を伝えるシャフトです。
写真下部にあるシャフトに汚れが沢山付着しているのが分かります。
まずはシャフトを取り出す必要があります。
ロアアームとストラット部を止めてるナットを外します。



シャフトを取り出すのに長いマイナスドライバみたいな工具をテコの原理を使い取り外します。
 

この際に注意しなければいけないのが、シールとトランスミッション側の接触部を絶対に傷つけてはならない事です。
傷が入ってしまうとまたフルードが漏れる可能性があるからです。

したがってこのように傷がつかないように工具を当てる事がポイントです。

取り付ける時は逆の手順で行うのですが、新品のシールを穴にはめる時はいきなりドライブシャフトを取り付けるのではなく、先に手である程度シールをはめてから行わないと新品のシールもダメにしてしまう可能性があります。

この6ヶ月間ディーラーでは様々なお仕事をさせていただき失敗や経験を積み沢山の事を学びました。整備士としてだけではなく洗車や受付、配送業務など。そこでわたしが感じたのが、ディーラーという一つのチームになってお客様を喜ばせるチーム力を学びました。
将来はオーストラリアでの経験をもとに安全な車社会を作り、社会貢献できる仕事をしたいと思いました。

プライベートについて

最後の1週間は休暇をもらいましたのでShun, Shu, Shotaroと旅行に行ってきました。

メルボルン近くの砂丘

モーテルにてバーベキュー大会

オーストラリアの夕日はいつも綺麗です。

9ヶ月あっという間でしたが、ここでの思い出はこれから一生忘れません。
AUH、先生方、ディーラーのみなさん、こっちで出会った友人達、AU組のみんな、両親、みなさんに感謝しております。

ありがとうございました。




終。
 
2019/12/10
 
 

2019年11月10日日曜日

#8 亀の甲より年の功

こんにちは!
Yamatoです。

いよいよオーストラリア生活も残り約一ヶ月を切りました。時間が経つのがすごく早く感じます。

さて今月も仕事のほうは毎日忙しかったです。今月からうちのワークショップでは2人の新しいメカニックの仲間が増えました。どちらも若者なのでとても話が合います。

・不動車の原因探求

ある日現行のCR-Vがレッカーされて入庫してきました。2018年式の真新しい車ですがエンジンがかからい状態らしいです。お客様は壊れた時にエンジンルームから焦げた匂いがしたとおっしゃっております。古い車でエンジンがかからなくなるのは分かりますが、新しい車でそのような状態になるのは珍しいと思います。

また古い車でエンジンがかからないとなると、経年劣化などの影響で機械部分の故障が疑われます。例えばタイミングベルトの切れなど。

別の日に入って来たB16Aエンジンのタイミングベルト破損
タイミングベルトとはエンジンのクランクシャフトとカムシャフトのタイミングを合わせる重要なゴム製のベルトです。ちぎれたり破損してしまうとエンジンが正常に動かなくなるおそれがあります。またゴムで出来ていてちぎれやすいので10万キロごとの交換をお勧めしています。

上の例は経年劣化の影響での故障ですが、新しい車は昔の車に比べると電子制御の部分が増えるので機械部分の故障より電気部分の故障が疑われます。

今回入ってきたCR-Vはバッテリーは正常ですが、セルモーターすら動かない状態でした。また沢山の警告や異常を示すランプが付いていました。

上の写真よりちょうどスピードを表す表示の左隣、通常はどのシフトに入っているかをP,R,N,D,Sのアルファベットで表すはずですがどうやら文字化けしております。わたしはこれを発見をした時に、車が今P(パーキング)以外のシフトに入っていると勘違いしているのではないかと考えました。車は通常P(パーキング)にシフトが入っていないと安全の為エンジンは始動しません(新型のCR-Vのみ)。したがってトランスミッションのシフト位置を検知するセンサーかなにかに異常があるのではないかと思い、診断機にかけてみました。しかしトランスミッション系でのセンサー類では異常コードが出て来ませんでした。

次に、診断通路の通電確認を行いました。
診断結果


すると、診断結果よりTCU(トランスミッション・コントロール・ユニット)の断線が確認されました。なのでちゃんと動く中古車からTCUだけ借りてきて交換してテストしてみるとなんとエンジンが始動しました。
壊れたTCU
原因はTCUにありました。壊れている方のTCUは外見はとくに異常ありませんが、匂いを嗅いでみたらすこしですが焼け焦げ臭かったです。おそらくTCUの内部で回路のショートが起き回路が焼け焦げてしまったのだと考察します。新しい車の故障探求は珍しいのでよい経験になりました。

・その他


普段お客様から車をお預かりする時に、車について気になるところなどをお客様に聞くのですが、こないだお客様から左フォグランプの下のパーツがなくなってしまったからチェックしてほしいとの事がジョブカードに書かれていたのでチェックしてみました。
見にくいですが左フォグランプ下だけに不自然に穴が開いている
左側のフォグランプ下にだけ穴が開いており一見”なんで左だけ”と思うかもしれませんが、この穴はトランスミッションフルードのオイルクーラーに風を取り入れる為の穴です。このことについてはAUHで研修をしていた時に学びました。その時のブログはこちらから。だからお客様に説明する事が出来ました。
学んだ知識を活用できるのは楽しいですね。


プライベートについて

今月はみんなでシドニーに行きShotaroに会いにいきました。久々に成長したみんなと会えて楽しかったです。
ボンダイビーチをバックに
この写真をたまたま道を歩いていた現地の人にビーチをバックに撮ってと頼んだら”いいよ!まかせろ!”って言って撮ってくれたのですが、イマイチな感じになっちゃいましたね。


往復1600㎞のドライブはとても長く感じました。オーストラリアは広い国です。

それではあと一ヶ月楽しみたいと思います。

2019年10月9日水曜日

#7 青天の霹靂

こんにちは!

お久しぶりです。Yamatoです。

オーストラリアは10月から春になり、サマータイムも始まり、過ごしやすい気候になってきました。

家の玄関先の満開の桜
9月は会社のボーリング大会がありました。


会社内でチーム戦となり、優勝したチームには賞金があります。

残念ながら自分たちのチームは優勝できませんでしたが、普段あまり一緒に仕事をしない方々と一緒に戦えてとても楽しかったです。


さて、仕事についてですが、今月もありがたい事に忙しく毎日サービスの嵐です。

なので、今回はエキストラサービスについて書いて行こうかと思います。

まずエキストラとは”追加の”や余分な”という意味です。

よってエキストラサービスとは通常のサービスの後に行う追加のサービスの事です。

通常のサービスで車を点検した後に交換部品等の見積もりをお客様に出し、お客様が交換部品の修理などを依頼されてから行うのがエキストラサービスです。

基本的にワイパーやエアクリーナエレメント交換やタイヤなどの消耗品が多いイメージですね。

今回はその中のブレーキフルードとトランスミッションフルードの交換について書きたいと思います。


・ブレーキフルードフラッシュ

円盤状の物がディスク、赤いパーツがキャリパー

まずブレーキはタイヤと同じ回転をするディスクとそのディスクをブレーキパッドがキャリパーによって挟まれることにより制動を制御する構造になっています。

キャリパーはブレーキフルードの油圧によって制御されます。

ホンダ純正のブレーキフルードは新品時は黄色の液体です。

しかし時間が経ち、走行距離も増えていくとブレーキパッドのゴミがフルードに混入し、下の写真のようになります。
リザーバータンク内の茶色になってしまったフルード

オートバイとかだとここまで汚れるとブレーキのタッチが悪くなり交換時期も分かりますが、車だと気づきづらいですね。

ブレーキフルードフラッシュの作業をおおまかに説明すると、各キャリパーから古いフルードを抜き、リザーバータンクへ新しいフルードを継ぎ足しフルードを綺麗にする作業になります。

まずはじめにブレーキフルードブリーダー(英語ではSucker)という道具を使い、リザーバー内のフルードを取り除きます。
ベルヌーイの定理を利用し液体を吸い出す

古いフルードをリザーバータンクから吸い出す時に注意しなければいけないのが、”タンク内の古いフルードをすべて抜いてはならない事”です。

タンク内のフルードをすべて抜いてしまうとブレーキライン(フルードの通路)にエアが混入し正常に油圧がかからなくなるからです。

したがって、常に油面はタンクの最低値より上でなければなりません。

これはこの作業をする上で最も大切な事です。

タンク内のフルードをある程度吸い取ったら、次はブレーキラインとキャリパーに残っている古いフルードを抜いていきます。

ここからは他のワークメイトに運転席に乗ってもらいブレーキペダルを踏んでもらいます。


ブリーダーボトルのホースをブリーダープラグに接続する。


作業の様子を動画に収めてみました。




・ブリーダープラグを緩める
・ポンプ!と言ってる間にフルードを抜きとる
・ダウン!と言ってる間にブリーダープラグを締める

といった流れを各4輪すべて行い終了です。

作業後のフルード
これだけ変わると整備した側も気持ちいですね!

ブレーキは最重要保安部品なのでしっかり各ボルト類に確実に閉め忘れがないようにしなければなりません。




・トランスミッションフルード交換(Trans Service)

現在Hondaの現行のガソリン車の変速機はほぼCVTに変わりました。

少し前まではトルクコンバーターATといい、4,5段のギヤのギヤ比を変えることにより加速したり、バックしたりしていました。

ですが今は多くの車が変速効率の良さにより燃費の向上が見込まれるCVTを採用しています。

CVTとは直接ギヤを使用せず、金属ベルトとプーリーを使用し変速する無段変速方式です。原付スクーターの油圧制御版みたいな感じですね。

Essendon Hondaではトランスミッションフルードの交換はだいたい4万キロおきに勧めています。

交換方法ですが、エンジンオイルと同じです。

ただ場所が違うだけですね。


車の前方方向から見て右側に位置するのがトランスミッションです。


赤矢印のボルトがドレイン、黄色矢印のボルトがレベルゲージ

ドレインボルトは通常エンジンオイルの場合ボルトがわに山があり工具を当てるのが普通ですが、トランスミッションのドレインは谷になっており工具を差し込む特殊なボルトになっています。

ねじの先に磁石が付いている特殊なボルト
上の写真よりねじの先端の磁石が金属ゴミをたくさん回収してるのが分かりますね。

なぜドレインだけ特殊なボルトなのかと言うと、おそらく工場の組み立てで通常のボルトと間違えて組み立てないように分かり易くするための工夫だと思います。


トランスミッションフルードの入り口



フルードを規定値に入れたら今度はフルード量の確認を行います。


再度車を持ち上げ、レベルゲージのボルトを緩めます。

するとフルードが少し流れ出てきます。

このボルトの穴はオイルパンの上に位置し油面が穴より下に下がるとフルードが流れ来なくなり規定値となる構造です。

規定値確認後はエンジンを始動し、パーキングブレーキをかけ、ギヤをそれぞれ1つずつ3秒ほどセレクトしフルードの慣らしを行い全行程終了です。


今回は2つ紹介しましたが、本来はこれ以上にたくさんのエキストラサービスがあります。


それではまた来月ブログにてお会いしましょう!



余談ですが、実はホストファミリーがEssendon Hondaにてホンダの車を購入されました。今度ファーストサービスを行いたいと思います。

2019年9月10日火曜日

#6 蛇の足より人の足

こんにちは!

Yamatoです。こちらオーストラリアは9月に入り少しずつ暖かくなってきました。

気温が暖かいと一日の気分もいいですね。

仕事についてですが、今月は特にエアバックのリコールが多かった印象です。
エアバックのリコールだけで一日30台行った日もありました。大変です。



さてEssendon Hondaでは、タイヤ交換2本以上行うとホイールアライメントをお勧めしてます。



ホイールアライメントとは車を真っ直ぐに走らせる為に行う足回りの調整です。

専用のホイストで4つのホイールにセンサーを取り付けます。

専用のパソコンに車両情報を入力し測定を開始します。

リアアクスルの測定値です。
上の画像より右後ろのタイヤがトーアウト(上から見て外向き)、左後ろのタイヤがトーイン(上から見て内向き)になっている事がわかります。

車はトーイン(両タイヤが上から見て内向き)が理想です。直進安定性が上がります。

両タイヤがどちらとも内側を向いていると中心に向かって車が向かうからです。

リアアクスルの調整ボルト
ロックナットを緩めて、調整ボルトにて調整します。
調整後の値
次にフロントの調整を行います。
フロントアクスルの測定値

フロントはハンドリングに大きく影響を起こすので慎重に調整を行います。

タイロッドエンドのロックナットを緩めます。
マツダの車はこのロックナットがすごく固いです。

ラックエンドにて調整します。
パソコンの測定値を見ながら調整を慎重に行います。
調整後の前後の測定結果

調整後は公道にて工具を持っていきテストドライブを自分で行い、ズレてたら路駐してハンドルを切って微調整をするという流れです。

車の内装の形状によってハンドル自体は真っ直ぐだが、錯覚で若干ズレてるように見える車もあるのでその辺の微調整がとても大変です。

ですが、我々整備士はお客様が不安に感じられないように整備する事が最も重要です。

足回りはちょっとの変化でハンドリングが大きく変わるのでとても面白いです。




8月の後半にホワイトナイトというメルボルンで大きな光の祭典があったので英語学校の友人達と行ってきました。

プロジェクションマッピングなどでメルボルン中が夜なのに明るく照らされていました。

 


今月はこの辺で終わりにしたいと思います。

それではまた来月お会いしましょう!
 

2019年8月10日土曜日

#5 一挙両得

お久しぶりです。Yamatoです!

8月のオーストラリアは毎日とても寒く、夏の日本の暑さがうらやましく感じてます。

さて、今月もEssendon Honda はありがたい事に毎日休む暇がないくらい忙しいです。

最近はほぼ一人で仕事をさせてもらっております。一日の中でやらせていただく仕事はサービスがほとんどですが、たまに通常の修理やリコール対応なども行ってます。


ある日、アコード(日本だとインスパイア)の170,000kmサービスをしていた時にオイルパンの底に大量のオイルが付着しているのを発見しました。


右上のねじ穴がオイルドレインホール
私はこれを発見した時、ホンダ車にありがちなシリンダーヘッドカバーからのオイル漏れかと思ったのですが、オイルをよく観察してみたらエンジンオイルほど汚れていなく、匂いがエンジンオイルに比べてもっと刺激臭で金属臭が激しくパワーステアリングフルードっぽかったのでたどってみました。

すると、予想どおりパワーステアリングポンプからのオイル漏れを発見しました。
画像中央に位置するのがパワーステアリングポンプ
この世代のホンダ車(ユーロアコード、CR-V、FDシビック)は経年劣化などの影響で今の時期にパワーステアリングフルードの漏れが起こりがちな印象です。

パワーステアリングフルードが漏れを起こすと、ハンドル操作が重くなったり、目一杯ハンドルを切ると振動を感じたりとドライバーが運転に不安を感じてしまいます。

したがって今回はパワーステアリングポンプのオーバーホールの見積もりをお客様に出し、後日オーバーホールを実施しました。

また整備をするときはしっかり観察し考える事が重要であると思います。



今月は燃料フィルターの交換が特に多かった印象です。

Essendon Hondaでは燃料フィルターは過走行車のサービスで交換をお勧めしています。

日本では車は10万キロ走ると新しい車に乗り換えする方が多いイメージですが、オーストラリアでは毎日のように10、20万キロ越えやたまに60万キロ越えの車なども入庫してきます。

ある日ホンダJazz(日本ではFit)の燃料フィルターの交換をしました。この車は走行距離1万キロで過走行車ではないのですが、お客様曰く結構な頻度で一回のスタートでエンジンがかからないとの事で数日前に他のワークメイトが故障探求をしたところ燃料ポンプの調子が悪い事が判明しました。
燃料ポンプは燃料フィルターの中に入っているので、保証で燃料フィルターごと交換しました。

また燃料フィルターは燃料タンクと一緒についています。


ホンダの一部の車(Jazz/Fit、HR-V/VESEL、City/Grace、軽自動車など)はセンタータンクレイアウトを採用しています。

燃料タンクは一般的に後部座席の下に位置するのですが、それを車の中心の運転席と助手席の下に配置する事によって後部座席を広く出来たり、低床にする事が出来ます。

よって上の写真のから分かる通り燃料フィルターをパーキングブレーキレバーの場所から取り出します。

左が新品、右が取り出した物
通常は中身のポンプだけ新しいフィルターに移し替えるのですが、今回はポンプの故障なのでフィルターごと交換しました。


リコール対応もたまに行います。
最近多いリコールはCR-Vのシフトレバーノブのリコールです。
シフトレバーのノブのみのリコール
シフトレバーのノブの材質が熱と湿度により破損しギヤをセレクトするのが困難になるおそれがあります。
左が取り出した物、中央と右の物がリコールで交換する物
左が取り出した物、右が交換する物
ノブ単体で見比べてみたのですが、違いが全く分かりませんでした。

左が交換する物、右が取り出した物
しかし、スプリングを比べてみたら交換品は元のスプリングより柔らかかったです。
材質を変え、スプリングを柔らかくし破損を防ぐのだと考察します。



プライベートについてですが、
今月は両親が日本から観光に来てくれたのでメルボルン市内やフィリップ島へ連れて行きました。
クイーンビクトリアマーケットのサタデーマーケット

オージー風お茶漬け

フィリップ島のワイルドライフパークで動物達とのふれあい

アジア観光客に人気のブライトンビーチ
満足してくれたのでうれしかったです。




それではまた来月お会いしましょう!